ショットピーニング

ショットピーニングとは
ショットピーニングとは、冷間加工の一種であり、無数の球状投射材を金属表面に対して高速度で衝突させることで表面改質を図ります。これにより、対象物の表面はくぼみで覆われ梨地模様となります。
ショットピーニングの加工方法は
投射材と呼ばれる球状物を空気圧もしくは遠心力により投射して金属表面に衝突させることで加工されます。投射材の比重、粒度、硬度また投射する速度により被加工品への影響の度合いが異なり得ようとする特性に応じて選択する必要があります。
ショットピーニング加工することにより(効果)
- 溶接や熱処理などで発生する引張残留応力を圧縮残留応力に換えることで応力腐食割れを防止することが出来ます。
- 疲れ強さが向上することで、設計段階で部材の厚みを薄くすることが可能となり軽量化を図ることが出来ます。
- 被加工材を塑性変形させることで表面の硬さが増大します。
- 微小な球状の痕はミクロプール・ディンプル効果により耐摩耗性及び潤滑性の向上に寄与します。
- 放射性の向上、流体抵抗の減少などの効果が得られます。
ショットピーニングの適用事例は
化学プラントの圧力容器、ばね・歯車・クランクシャフトなどの自動車部品、ランディングギア・ジェットエンジンなどの航空機部品など。
ショットピーニングの装置構成
ショット材の種類
スチールビーズ
溶鋼を噴霧することにより製造されたビーズで、一般研掃用としても使用されている。
ステンレスビーズ
球状粒子SUS304相当のビーズ。延性が良く対象物と衝突し自ら変形することでほとんど摩耗しない。
ガラスビーズ
粉砕したガラスを溶融球状化することにより製造されたビーズ。脆く破砕し易く比重も小さいことから、軽度のピーニング、梨地加工、金型の清掃に使用される。
セラミックビーズ
主にジルコニア系のビーズが用いられる。セラミックの溶融・噴霧により製造されるものと、粉末の造粒・焼結により製造されるものがある、寿命も長く、比重も大きいことからピーニング効果が高いと言われる。
カットワイヤ
線材を径にほぼ等しい長さにカットして製造されたもので、球状ではない。比較的安価なためかよく使用されている。
専門用語
ショットピーニング
主に金属材料の表面に球状の材料を高速且つ連続的に打ち当てて表面層を加工硬化させる表面加工法。これにより金属材料の表層は圧縮応力が残り、疲労強さが増します。
アルメンストリップ
片面にショットピーニングを行い、生じる変形の大きさによって、ピーニング強度を測定するために用いる短冊状の金属片。厚さによってC,A,Nの3種類があります。
アークハイト
ショットピーニング後のアルメンストリップの定めた長さにおける変形の大きさ(反りの高さ)。測定単位はmmで表します。
アルメンゲージ
アルメンストリップのアークハイトを測定する測定器。
ガバレージ
測定の対象となる全表面積に対してショットによって打痕が発生した面積の割合。
フルガバレージ
ショットピーニングの加工程度を示すもので、加工面が打痕で覆い尽くされた状態。
被加工品の残留応力の測定
- 微小部X線応力測定装置を用い測定致します。
- 測定原理は、結晶に決まった波長のX線を入射させると特定の方向(角度)に強く反射します。この現象がX線回析現象です。残留応力測定はこのX線回析の現象を利用し行います。
- 被加工品の表面層だけでなく、電解研磨をすることで深さ方向の残留応力を測定することも可能です。
内視鏡による検査
施工例